モノノホン

モノノホンによると、ここは地球の片隅であり、世界の真ん中であるらしい。

やっぱり上を向いて歩こう

 村上春樹に「下を向いて歩こう」というエッセイがある(『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』村上春樹安西水丸/新潮文庫/1999)。村上春樹がジャズバーを経営していた頃、翌日中に金を用意しないと手形が不渡りになるという状況の中、どうしてもあと3万円が工面できず、誰もいない静かな夜道を夫婦でとぼとぼと歩いていた。すると、道端に紙切れが落ちていて、近づいてみると、それは3枚の1万円札だった。そのおかげで苦境を脱せたのだ、という話。いま同じ話をTwitterに書いたら炎上間違いなしだ。

 

 このエッセイのタイトルは、当然、坂本九の『上を向いて歩こう』が念頭にあってのものだ。言うまでもなく『上を向いて歩こう』は、日本の音楽史に残る作品で、「世界で最も有名な日本の歌」であるという(ちなみに2番目はTHE BOOMの『島唄』という説がある)。『SUKIYAKI』というタイトルでアメリカで大ヒットした話もあまりに有名だ。
 日本人からすれば「スキヤキって何やねん!」という気になるが、日本は日本で『A Hard Day's Night』を『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』と訳したりしているので、おあいこなんだろう。むしろ昔の方がそんなハチャメチャな邦題が多くて楽しかった気がする。『A Hard Day's Night』が2001年にリバイバル上映されたときは、邦題は『ハード・デイズ・ナイト』に変更された。やはり比べても熱量が足りない。観に行ったけど。

 

 で、本題。先日書いたように肩こりがひどく、治る気配もないので、病院に行った。僕は僕としては珍しく、「医者」という存在を無条件に信頼しているので、とにかく医療機関へ行こうと思った。
 朝イチで行ったので、いつもは大入りの整形外科も、空いている。診断の結果は「ストレートネック気味」とのこと。本来、首は少し反っているのが正常なのだが、それがまっすぐになっているらしい。
 原因は、「下の向きすぎ」。パソコン、タブレットを長時間同じ体勢でやっているのが悪いんだろうなと思う。身に覚えがありすぎる。デジタルものばかりじゃなくて、本だって読むときは下を向くから、何にせよやりすぎはよくない。少なくとも休憩したり姿勢を変えたりすることは必要だ。

 

 僕は昔から体のバランスが良くない。「まっすぐ寝てください」と言われて、自分ではまっすぐに横になったつもりでも、必ず曲がっている。視力も長いこと左右でかなり差があった。
 いちおう改善しようと、なるべく左右に同じ負荷をかけようとはしているが、投げたり蹴ったり書いたり切ったりなど、左ではできないことも多い。あとお尻を拭くのも左ではできない。左でもできるようになりたいと思っているんだけど、こればっかりはなかなか「練習」ができないので、難しい。失敗もできないし。
 今回の肩こりも、特に右がひどい。頭痛も右の方が強い。目の違和感も右が強い。自然と筋肉の使い方なんかがアンバランスになっているんだろうと思う。

 

 病院で少しリハビリをすることになった。新しい整形外科なので、設備も新しい。首を牽引してもらい、ウォーターベッドでマッサージをしてもらう。何年か前に腰痛で通ったときもこのウォーターベッドを使ったが、これがとにかく気持ち良い。ボキッ、バキッ、みたいな荒療治に憧れることもあるが、体への負担を考えたら、じんわりやってもらう方が安全だ。
 次の診察は一週間後になるということだが、できるだけ来られるときにリハビリに来るようにとのこと。よっしゃ、毎日行ったろ、と思う。あと日常でも意識的に上を向く機会を増やした方がいいという話。別に涙が出ているわけではないが、上を向こうと思う。とにかく早い快癒を目指す。