モノノホン

モノノホンによると、ここは地球の片隅であり、世界の真ん中であるらしい。

『本で床は抜けるのか』を読んで

 『本で床は抜けるのか』(西牟田靖/本の雑誌社/2015)を読んだ。
 仕事場を木造アパートの2階に移した著者が、引越しを手伝ってくれた業者の社長から「よく思い切りましたね」と言われるところから話は始まる。その意味ありげな言葉と、貧弱な造りの建物、そして著者の蔵書の数から、「もしかしたら床が抜けるんではなかろうか」と危機感を持った著者が、「本で床は抜けるのか」をテーマに取材を繰り広げる体験記だ。
 実際に床が抜けた人や、抜けそうになった人を含め、とにかく蔵書の数の多い人ばかりが出てくる。対策としては、「蔵書をまとめて処分」「電子化」「私設図書館を作る」「書庫を建設」など。
 取材を通して著者が増えすぎた蔵書をどうするかを考えるというのが主題である。現実問題としては、図書館を建てるほどの蔵書もなく、書庫を建設するほどの財力もない著者には限られた選択肢がないのだが、まあいろんな蔵書家が出てくる。この本を読むと、僕もまだまだなんだなあと安心する。関係ないけど「書物をたくさん所有している人」を意味する「蔵書家」という言葉は、大辞林(アプリ版)にはあるが、広辞苑(第7版)にはない。
 なお最後はかなり深刻な家庭問題にまで発展する。結末を知らなかったのでけっこう驚いた。この本を読むと、僕も気をつけないとなあと冷や汗が出る。
 著者の本はこれまで「国境」関係のものを読んでいたので、こういう軽いテーマ(最後には重くなるわけだが)の本も出すのだなと少し意外だった。出版社は本の雑誌社。『本の雑誌』を出している出版社だ。この本のことも、いつかたまたま買った『本の雑誌』で知った。

 

 僕は自分の持っている本の数を把握していない。もちろん数えたらわかることなのだけど、わざわざそこまですることのほどでもないし。
 感覚では、漫画以外の本が800~1,000冊、漫画(紙)が250冊程度という気がする。電子書籍の漫画は632冊(honto:622冊+Kindle:10冊)らしい。漫画以外の電子書籍は3冊ある。うち電子書籍限定が1冊。
 大した数ではないが、株式会社エイチーム引越し侍が2014年に行った調査によると、日本の一人あたりの本の保有冊数の全国平均は、本(漫画以外)が76.2冊、漫画が75.0冊だということなので、それに比べたら持っている方だということになる。
 本は、自宅に置いているのは全体の3割程度だと思う。残りの7割は近くの祖母宅に置かせてもらっている。祖母宅には普段からちょくちょく行くので、本が必要になればそのときにピックアップしている。かなり恵まれた環境だ。
 とはいえ、際限なくものを増やせるわけではない。僕はこれまでに何度か蔵書の大掛かりな整理を行った。特に大規模だったのが、去年の冬に行った整理だ。このときは漫画とDVD/Blu-rayを半分以上処分した(売った)。
 その後、漫画については基本的に電子書籍を買うようにしている。僕はどうも縦書きの文章を電子書籍で読むのが苦手なのだが、漫画に関しては苦もなく読めることがわかったので、場所をとらない電子書籍はありがたい。漫画は本文の紙が軽い(密度が低い)のだが、とにかく刊行スピードが速いので、どんどん増えていってしまう。電子書籍がなければ、いまの1.5倍~2倍近くのスペースが必要なことを考えると、恐ろしい。
 床が抜ける心配というのは、僕自身はしたことがない。板橋で住んでいたボロアパートなどはむしろ床を抜かして壊してしまった方が世の中のためになったんじゃないかとさえ思うが、そのときでさえ床が抜けそうだなという気はしなかった。僕はその家での経験から、木造の集合住宅を嫌うようになったので、おそらくこれからも「床が抜ける」という心配はしないんじゃないかと思う。
 しかしながら、重さのことは考えないでいいにしても、スペースの問題は常につきまとうわけで、けっこう繊細な問題なのだと知ったいま、気をつけたいと思う。散らかさないように努力します、と最後に細君向けのメッセージを残して、今回はおしまい。